カンボジア 母と子のための地域保健システム強化事業

カンボジア 母と子のための地域保健システム強化事業
(期間:2014~2018 対象地域:コンポンチャム州)

コンポンチャム州は、全国で人口と保健センターが最も多い一方で、州内の22センターに正助産師が不在で、早期養成を目的に高卒後1年で育成された准助産師のみがサービスを提供しています。充分な知識と臨床経験がなく、また現場で指導できる人材がいないことが課題です。
支援対象地のストゥントロン保健行政区内の保健センターの統計によると、保健センターの一人あたりの妊婦健診は回数を追うごとに受診回数が減り、また、分娩件数や産後健診の件数も非常に少ない状況です。このように地域で十分な「継続ケア(妊婦健診、普通分娩、産後健診、乳児ケア、家族ケアといった一連のサービス)」が提供できていないことが見えます。

この事業は、地域医療機関を指導・監督する役割を持つ保健行政区と協働で保健センターを含む地域保健システムを改善していく仕組み作りに特徴があります。活動の4つの柱となる「保健行政区の能力強化」「助産師育成」「保健センターの機能強化」「地域住民の意識向上」のそれぞれで対象となる、保健行政区スタッフ、准助産師、保健センタースタッフ、保健ボランティアの能力強化を行いました。
【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金のほか、成田コスモポリタンロータリークラブ、八神製作所株式会社などサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しました。】

活動成果


活動レポート

2018/7/26
2018/6/27
2018/4/26
2018/3/29
2018/2/27
2018/1/25
2017/12/25
2017/11/30
2017/10/30
2017/10/26
2017/8/29
2017/7/27
2017/6/29
2017/5/30
2017/4/29
2017/3/29
2017/2/24
2017/1/30
2016/12/27
2016/11/29
2016/10/26
2016/8/30
2016/7/29
2016/6/23
2016/5/27
2016/4/27
2016/3/17
2016/2/15
2016/1/26
2015/12/21
2015/11/30
2015/10/30
2015/09/30
2015/08/27
2015/07/30
2015/06/30
2015/05/28
2015/05/15
2015/04/27
2015/03/23
2015/02/23
2015/01/23
2014/12/29
2014/11/27
2014/10/27

ボランティアさんに自転車を寄贈

ストゥントロン保健行政区長主催による「保健ボランティア並びに母子保健ボランティアへの自転車(109台)贈呈式典」が、郡長であるトゥン・ネット氏を迎えて開催されました。保健ボランティア・母子保健ボランティアは猛暑や大雨の中でも村びとの健康のために精力的に活動を行っています。公共交通機関が十分発達していない当地のボランティア達にとって、活動のための移動手段確保が予てより課題になっていました。PHJではこれを解決するためにボランティア達に自転車を109台贈呈することにしました。

式典は8月14日7時半からストゥントロン保健行政区で、PHJが活動を行っている4つの区の保健センター長、そして保健ボランティア・母子保健ボランティア100名以上が出席して行われました。

郡長はスピーチの中でPHJの貢献に対して感謝の意を表し、これからもPHJの活動に協力することを約束してくれました。

保健行政区長はスピーチの中で自転車贈呈だけでなく、保健センターやボランティア達に対する日ごろのPHJによるテクニカルサポート面の貢献も賞賛してくれました。また、ボランティア達には自転車を大切に使いよくメンテナンスすること、そして自転車を使ってよりコミュニティーに貢献することを期待すると話されました。
ボランティア達は区毎に、一人ひとり順番に自転車を受け取りました。
たくさんのボランティア達が笑顔で帰っていきました。
PHJはこれからも保健ボランティアと母子保健ボランティア達の活躍を応援していきます。

カンボジア コンポンチャム州子どものケア支援ネットワーク強化事業

カンボジア コンポンチャム州子どものケア支援ネットワーク強化事業
(期間:2018~ 対象地域:コンポンチャム州)

PHJはコンポンチャム州で2014 年から妊娠・出産・産後期を中心に保健センターでの母子保健サービスを強化し利用増を促進する活動を実施してきました。しかし、村での活動を実施する中で5 歳未満の子供の健康問題が顕在化。男女ともに完全母乳育児期が終わり、離乳食が始まる6 ヶ月を境に低栄養の割合が増加し、特に1歳から2 歳未満の男児では低体重26.0%、低身長19.5% でした*。「低栄養」は子どもたちが病気にかかるリスクを高めるだけでなく、成長に及ぼす負の影響は生涯に渡り続くといわれています。
*岩本、他、「カンボジア国コンポンチャム州における子どもの慢性低栄養の男女差」、2016

活動内容

本事業は、保健センタースタッフと村のボランティアが支援ネットワークを形成し、地域の子どものケアに関する知識普及や実践促進を行うことにより、5 歳未満児の予防可能な死亡を削減しつつ、健康な成長発達が促進されることを目的とします。子どもの栄養改善など健康増進や疾病予防に対する地域住民の関心を高めて家庭でのケア実践の増進を狙いとしています。
保健センターでの予防接種、成長モニタリングなどの健診や小児疾病管理の保健サービスを提供できる体制づくりをコミュニティの参画のもとに推進します。

活動レポート

2018/7/26
2018/6/27
2018/4/26
2018/3/29

母子保健ボランティア 産後検診啓蒙のためのトレーニング

現在、PHJカンボジアでは2歳以下の子どもの健康を支えるためのネットワークづくりをしていますが、この事業のなかで母子保健ボランティアは村の妊産婦を直接支援する役割を果たします。
活動の中でも目標とされている家庭での子供の健康に関する知識や意識を高めるためにはなくてはならない存在で、妊婦健診や産後検診といった産前産後のケアの啓蒙や栄養教育といった活動の核になります。
7月はじめの4日間、ピアムゴッスナー母子保健ボランティアの第2回初期トレーニングを開催しました。今回のトレーニングは、6月末に行った第1回初期トレーニング「妊婦健診サービスについて」の続きです。
「産後検診サービスについて」が今回のトレーニング内容で、13人の母子保健ボランティアが参加しました。
比較的大人数だったので、会場として保健センター近くの学校の教室をお借りしました。
学校の校長先生は活動にとても理解を示してくれ、快く教室を貸してくれました。
ファシリテーターとして保健局の医者と看護師が参加しました。

産後検診の大切さについての講義、新生児と母親の健康状態の評価方法、体温計の使い方、家庭訪問の仕方などが主なトレーニング内容でした。

最終日は実技です。グループに分かれて近くの村に行き、出産したばかりの女性へ家庭訪問をします。

保健局の医者と看護師の指導のもと、参加者全員が家庭訪問の実演をしました。
母子保健ボランティアが、フリップチャートの教材を利用しながらわかりやすく説明しています。


最後は、参加者13人の母子保健ボランティアへ救急箱、教材、バッグを贈り、トレーニングは終了しました。

フードデモンストレーション(離乳食の調理実習)を実施しました。

5月下旬にクポッタゴン区のプレック・トゥク村でフードデモンストレーションを行いました。
村の母子保健ボランティアの自宅をお借りして、乳児を持つお母さんたちを対象に栄養のある離乳食のお粥の調理実習をしました。


PHJスタッフと母子保健ボランティアの指示のもと、お母さんたちが調理に参加しました。

お粥を待つ子供たち

離乳食のお粥完成です。
お米のほか、緑野菜、カボチャ、サツマイモ、魚、卵、豆腐など、栄養価の高いものが入っています。

子供たちのほとんどがお代わりをしました。


参加者全員で試食しました。大人にも好評な味でした。

最後に、PHJスタッフが乳児に必要な栄養に関する講義をしてフードデモンストレーションは終了しました。
今まで栄養のあるお粥を作りたいと思っていたけれど作り方を知らず、今回の実習で学べてよかったとお母さん達から感謝の声をいただきました。

保健ボランティア向けに母子保健の研修を実施しました

5月上旬の2日間で、ピアムゴッスナー保健センターにて保健ボランティア(VHSG)向けに母子保健の研修を実施しました。保健センターの看護師と助産師がファシリテーターとして妊婦管理、産後ケア、出産間隔、予防接種、衛生について講義しました。
ピアムゴッスナーの保健ボランティア18人中15人が参加しました。風も扇風機もない猛暑日でしたが、保健ボランティア達は辛抱強く暑さに耐えながら最後まで研修を受けていました。
看護師、助産師とPHJスタッフで研修前の段取りと教材についての説明をしている様子。

猛暑の中、保健ボランティアが集まってくれました。

チェイフール看護師はたまにジョークを混ぜながら講義し、和気あいあいとした雰囲気で研修が行われました。

予防接種の講義。

セング助産師による出産間隔の講義。

研修の最後に、PHJが作成した保健に関する冊子を一村に一部贈呈しました。

小児統合疾患管理トレーニングの実施

保健センターの小児保健診療サービスの向上のため、3月下旬の5日間で小児統合疾患管理トレーニングを実施しました。
保健省スタッフによる講義が行われました。

小児疾病統合管理という小児ケアの方法論とチェックリストの使い方を講義のなかで教えています。

その後トレーニングの演習を実施。
実際に地域の保健センターで診察に訪れた子どもの診察を実施しました。

保健行政区におけるPDCAの理解と定着に向けて

 1月の活動のハイライトは、半年に一度に保健行政区と行うM&E(Monitoring & Evaluation) ワークショップです。
事業管理(Plan Do Check Action: 以下PDCAと省略)について学び、これをもとに、保健行政区の実際の活動を振り返りと評価を行い、保健行政区の管理能力強化を図ることを目的としています。
2015年から定期的に行われてきた本ワークショップ。
しかし、まだまだ、PDCAの考え方に沿って、自分たちの活動を振り返ること、そして、目標達成するには、どうすればいいかについて考えることには慣れていません。
<ワークショップ1週間前>
ワークショップの準備として、保健行政区の母子保健活動計画にもとづいて、“活動のまとめ”を作成するとことから始めます。
そこで事前に“活動をどのようにまとめるか”について話しあいました。

<ワークショップ当日>
PDCAについての復習講義とエクササイズからスタートしました。

その後、保健行政区長による保健行政区の活動のまとめを発表しました。

活動を計画に沿って振り返りその進捗と次の課題について話し合い(評価)を行いました。

過去のワークショップでは、計画したものの評価できるような計画ではなかったので、計画を修正。
しかも評価する指標を設定していなかったため、次に指標を設定。
ところが、指標があってもデータがない・取れなかったため、次は、測定可能な指標を設定し、、とPDCAと長きにわたり格闘してきました。
今年は、計画に沿って、指標となるデータを見ながら、活動の振り返りと評価の話し合いが形になっていたと思います。
次の課題は、評価をもとに次の計画に反映する事。
少しずつですが、着実に、保健行政区がパワーアップしているのを実感できたワークショップでした。
 

お母さんと子どもの健康をささえるダイアリー作成

PHJカンボジア事務所ではダイアリーを制作し、
新年にPHJの活動に関わる様々な人、たとえばボランティアや保健センターのスタッフなどに配布します。

(2018年版ダイアリー)

このダイアリーはスケジュール管理やメモといった機能だけなく、PHJの活動紹介、母子の健康に関する知識もイラスト付きで含まれています。
ボランティアや保健センタースタッフは、自分の活動管理や情報整理のために活用し、今や会議などの活動には欠かせないアイテム。
誰もが手帳を持っている日本と違い、カンボジアの農村地域に住む人たちにとっては重要な1冊となっているようです。

(2018年版ダイアリー中面1)
(2018年版ダイアリー中面2)

今年は、事業対象が“お母さん”だけでなく“子ども”も追加されテーマを拡大したので、
ダイアリーの中身も新しく見直し、みんなで工夫して仕上げています。
12月の完成目指して、スタッフ中心となって頑張って取り組みました。

どんな出来上がりになるかは新年になってからのお楽しみです。

多岐にわたるPHJの活動

今月の活動の中で2つを紹介します。
一つは村での妊産婦さんの支援の活動。またもう一つは行政との情報共有の活動。
地域での包括支援活動にはどちらも欠かせない活動です。
【母子保健ボランティアの活動を確認】
母子保健ボランティアによる家庭訪問時の保健教育が、適切に実施できているかどうかをモニタリングしました。
チェックリストに沿って確認し、PHJスタッフからボランティアへフィードバックも行います。


【州内の行政官とNGOの月例会議】
またコンポンチャム州の行政とNGOの情報共有のために実施される月例会議にてPHJカンボジアスタッフが2014年から4年間の活動の成果を報告しました。


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