保健行政区の運営に関する評価と計画策定

保健行政区の運営に関するモニタリング評価および計画策定ワークショップ(3日間)を開催しました。保健行政区スタッフ4名、3保健センターから保健センター長と助産師各2名、合計10名が参加しました。
7月10日(1日目)は、午前中に事業運営に関する講義を行い、その後PHJの活動指標と過去3年間の成果を共有。その結果を使い、保健センターごとに「モニタリング評価演習」を行い、結果発表しました。

7月18日(2日目)は、午前中に保健センター長と助産師のチームが他保健センターを訪問し管理状況を確認しました。
午後はその訪問での観察事項を各チームでまとめて発表し、それに対して各保健センター長が状況説明を行った。1日目の発表、2日目の観察を基に、各保健センターでマネジメント改善のゴールと目標を設定しました。

7月19日(3日目)は、保健行政区の年間計画の見直しを行いました。
昨年の12月のワークショップ以来、年間計画表の内容改善を共に進めていますが、今回は量的成果、質的成果を具体的に設定する作業を行いました。今回は年間計画の一部のみ見直し作業を行ったが、他のセクションに関しても同様の作業で保健行政区長自ら修正できると考えています。
 

母子保健ボランティア育成 4日間集中トレーニング

2か所の保健センターで4日間の母子保健ボランティアの育成トレーニングを開催しました。
トレーニングの内容は、女性の産後ケアや新生児ケアの知識と家庭訪問時の保健教育のためのスキル、レポート作成や保健教育の実践を織り込んだものです。
州保健局からトレーナーを招き、保健行政区母子保健担当者や保健センター助産師も同席しました。
▼講師が家庭訪問時のレポートの書き方についての説明をしているところ

▼ボランティアが、産後の家庭訪問を想定した保健教育の実践を
保健センターで前日出産した女性に対し行っているところ

▼ゲームでトレーニング合間にリフレッシュ

▼オームルー保健センターの参加者との集合写真

どちらの保健センターでも参加者は集中して講義を受け、母子保健ボランティアの役割を学ぶにつれ、より責任感をもって取り組む様子が見られました。
参加できなかった母子保健ボランティアには個別訪問し、継続の意思を確認しながら、今回の講義のフォローアップをしていきます。

助産師連携会議の開催

助産師のスキルアップに向けて情報共有や研修を行う「助産師連携会議」が、5月18,19日にストゥントロン行政区会議室にで行われました。
両日で、管轄エリア内の保健センター所属の30名の助産師のうち27名が会議に参加しています。
まず、保健行政区の母子保健担当者からは、通常の業務の観察をもとに、特に感染管理(手洗いの徹底、滅菌管理)、妊婦照会時の情報伝達の方法、分娩記録の正しい記載の徹底などが課題となっていることが報告されました。

チームワーク改善を考えてもらうため、チームワーク強化を狙ったゲームも実施しました。

分娩記録の正しいつけ方の演習も行っていました。

事例を使って、各自配られた記録表に記載する練習をしているところ。

この会議の内容が助産師さんたちの普段の業務によりよく反映されればと思います。

准助産師のスキルを確認

保健センターにて准助産師の妊婦健診、家族計画、産後検診・乳児健診のスキルをチェックリストをもとに
確認しました。
保健行政区の母子保健担当者ととも准助産師のスキルをチェックします。

・准助産師さんによる妊婦健診

・准助産師による産後の子宮復古(分娩後に子宮が妊娠前の状態に戻ること)の観察の様子

・准助産師さんによる産後検診の様子

・産後のお母さんたちへの説明を行う准助産師さん

トレーニングの実施や毎月のモニタリングにより、
妊婦健診や家族計画サービスのスキルは一定水準以上のレベルを保てるようになってきました。
現在は産後検診/乳幼児健診の際の、赤ちゃんの観察やアセスメントが課題です。
PHJでは現場の准助産師の習熟度に合わせて、チェックリストを改訂するなど、モニタリングの質強化にも努めています。

母子保健ボランティアの育成トレーニングを実施

母子保健ボランティアとは、村に住む女性の中から選出され、妊産婦への家庭訪問で保健知識強化を図り、保健センターの利用を促すという、事業の中でも大切な役割を担います。
この母子保健ボランティアを育成するトレーニングが2月末から3月にかけて行われました。
トレーニングは妊婦健診の知識とコミュニケーションスキルについての講義、ディスカッション、実践を織り込んだ3日間のトレーニングが保健センターで行われ、6月と7月には産後検診と乳児健診に関するトレーニング4日間を予定しています。
対象となるのは3つの保健センターにて管轄する村の母子保健ボランティアさん合わせて68名。当日は州保健局からトレーナーを招き、保健行政区母子保健担当者や保健センター助産師も同席しました。
■3日間のトレーニングの内容
【1日目】
カンボジアの母子保健の統計や新生児ケアが重要な理由についての講義、グループディスカッション(周産期の死亡を防ぐために必要なこととは何か)、事前テスト

ケーススタディのグループワークの様子
【 2日目】
妊婦健診の重要性について、フリップチャートの使い方、ケースを想定した保健教育の実施シミュレーション、母乳栄養の意義、母乳哺育介助手技の実演
【3日目】
村でのフィールドワーク(妊婦に対する保健教育の実践)、3日間のレビュー、事後テスト

(実際に村に行き、フリップチャートを使って妊婦さん相手に保健教育を行う様子)
参加した母子保健ボランティアさんたちは講義に集中し、積極的に話し合いをしたり、グループワークでは活発に意見を出し合う様子がみられました。
トレーニングの事前から事後のテストの平均がグループごとに30点以上アップしていました。

次回のトレーニングにも意欲的に参加し、頼もしい母子保健ボランティアさんが育ってくれればと思います。

保健センターの井戸の掘削工事

カンボジアでは一般診療や分娩が行われる保健センターといった医療施設でさえ、水を確保するのが難しい状況です。
支援地にあるアレアッタノー保健センターではこれまで二つ井戸(手動でくみ上げるタイプ)
がありましたが、すでに水が出ない状態でした。そのため、保健センターの
スタッフがこれまでは水を買ってきて、しのいできました。
そこで、今回新たに電動で水をくみ上げるタイプの井戸を作るため掘削工事をしました。

地面に穴をあけて、パイプを通し、そこにポンプを差し込んで、水を吸い上げる仕組みです。

完成後の井戸

保健センターの裏にあるタンクと井戸をパイプでつなげ、モーターの電源を入れるとタンクに水が溜まるようになっています。
もちろん日本と比べればまだまだ厳しい環境ではありますが、
井戸による水の供給という重要なインフラが整った保健センターでよりよいサービスやケアが提供できればと思います。

専門家によるワークショップ開催

(保健行政区のマネジメント能力向上へ)
農村部の保健センターや病院を統括する保健行政区。そのマネジメント能力や質は、保健センターでの妊産婦や乳幼児に対する継続ケアの提供に大きく影響します。
PHJは支援活動の一環として、保健行政区の職員と協働して、事業マネジメント、会議運営、情報 収集と分析の強化支援を行っています。
2016年12月末に岡本美代子先生(順天堂大学)を招き、PHJの支援地であるストゥントロン保健行政区の管理職メンバーを対象に「マネジメントの基本を学び次年度年間計画を再構築する」ことを主目的として、3日間のワークショップを実施しました。
ストゥントロン保健行政区からは、保健行政区長、副保健行政区長、母子保健担当チーフ、結核予防担当チーフが参加し、PHJからは現地スタッフ6名と駐在スタッフ3名が参加しました。
ワークショップは3段階で、1:良い事例を学んで議論する、2:マネジメントの基本概念を理解する、3:マネジメントの知識を活用し2017年の計画を立案する というものです。
まず、近隣のチョンプレイ保健行政区の視察では、地域の母子保健の課題とそれに対してどのような手段で問題解決を図ったか教示してもらいました。

(チョンプレイ保健行政区を視察し、母子保健担当チーフより経験談を教えてもらう。)

(チョンプレイ保健行政区の保健センターの前で、全員集合)
視察からの学びを活かし、ストゥントロン保健行政区の現状課題や強みを明確にすることができました。

(チョンプレイ保健行政区への視察を通して得られたことを、全員参加で大きなホワイトボードに提示し、整理をしました。)
上記の課題を効果的に解決するために、「マネジメントの基本」の講義でしっかり基礎知識を理解した上で、次年度年間計画の見直しをしてみました。
このことにより、明確な目標を設定し、いかにそれに繋がるロジックを考えて計画を立てるということが、期待する成果を生み出すために大事であるかを学びました。

(ストゥントロン保健行政区メンバーを中心に、次年度計画の見直しを行いました。)
このように段階的できめ細かなワークショップにより、参加者全員でマネジメントに対する理解を深め、能力を向上させることができました。
ワークショップを終えたストゥントロン保健行政区長は「マネジメントは難しかったが、具体的にわかりやすく説明してもらったので理解できた。保健センター長を集めてワークショップを開きたい。そうすると、今起こっている問題が解決できると思う。」という前向きなコメントをいただきました。
マネジメント能力の向上はもとより、PHJスタッフと保健行政区のメンバーがワークショップを通して課題を共有し協働して計画立案できたことで、一体感が生まれたことも大きな収穫だったのではないかと感じます。

安全なお産を応援するギフトセットを配布開始

保健センターや医療機関での定期的な妊婦健診や分娩、産後検診を奨励し、安全なお産を少しでも増やすため、
妊産婦さんへのギフトセット配布を1月よりスタートしています。
ギフトセットは2セットあり、妊婦健診・分娩奨励用と、産後検診・家族計画奨励用となります。
産前の検診や産後のケアや家族計画は、次のお産や今後のお母さんの健康にも大きく関係します。
奨励用のギフトセットは事前に購入し、各保健センターで配布してもらうためにまとまった個数を渡しに行きました。


さらに、地域住民に対してもポスターを使って奨励セットについて説明し、保健センターや医療機関での妊婦健診、分娩、産後検診をすすめています。

さて、今後保健センターでの健診、出産、産後の検診が一気に増えることを期待します。
こちらの活動については2月中旬より日本の皆様からの支援を募る予定です。

専門家による保健行政区の評価と計画策定

ストゥントロン保健行政区による母子保健事業活動の評価と
2017年の活動計画策定のため、2016 年12月末に
国際保健の専門家である岡本美代子先生(順天堂大学 医療看護学部 大学院 医療看護研究科)を招き、
3日間かけてワークショップを実施しました。
保健行政区からは、保健行政区長、副行政区長、母子保健担当、結核担当が参加し、
PHJスタッフは現地スタッフ6名と駐在スタッフ3名が参加しました。
他の保健行政区の視察、成功事例やマネジメントの講義、それらを踏まえた
活動の振り返りと年間計画の見直しと再構築を行いました。

(チョンプレイ保健行政区を視察。その地域の母子保健の問題点とそれに対してどのような手段で問題解決を図ったか、事例を共有しました。)

(他の保健行政区、保健センター見学を通して得られたことを整理)
段階的できめ細かなワークショップにより参加者の理解が深まり、
保健行政区側も積極的に発言をしていました。
今回のワークショップの内容や学びを今後の活動に
活かしたいという前向きな意見も見られ、
2017年の保健行政区の活動が良いスタートを切ることができたのでは
ないでしょうか。

保健センターの補修・改善工事が進行中

PHJの活動地にある保健センターは、老朽化などの影響で利用者や働く人にとって危険な状態のままに使われているところがあります。
保健センターに関わる誰もが安心して利用したり、働いたりできるように現在2か所で補修や改善工事が進んでいます。
【天井改修工事:アレアッタノー保健センター】
センターに入ってすぐの玄関部分の天井。何かのきっかけで天井が落ちてきそうなほど無数の穴があいています。

工事中の様子

工事終了後、美しく生まれ変わった天井のもとで、話し合いが行われています。取り付けられた電燈、実は施工してくれた男性が、奥様がこのセンターで出産したとのことで寄贈してくださいました。

【土手埋め立て工事:クポッタゴン保健センター】
道路が土手の上にあり、保健センターとの間が谷のようになっているため、道路から保健センターに渡るときに転がり落ちる危険がありました。とくに夜間など周囲が暗いときなどは道路や橋などの境目が見えずらく危険が増します。

周りを煉瓦で囲い、埋め立て工事を始めたところ。

埋め立てがほとんど完了しています。これなら安心して保健センターに行けますね。


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