ストゥントロン保健行政区長主催による「保健ボランティア並びに母子保健ボランティアへの自転車(109台)贈呈式典」が、郡長であるトゥン・ネット氏を迎えて開催されました。保健ボランティア・母子保健ボランティアは猛暑や大雨の中でも村びとの健康のために精力的に活動を行っています。公共交通機関が十分発達していない当地のボランティア達にとって、活動のための移動手段確保が予てより課題になっていました。PHJではこれを解決するためにボランティア達に自転車を109台贈呈することにしました。
式典は8月14日7時半からストゥントロン保健行政区で、PHJが活動を行っている4つの区の保健センター長、そして保健ボランティア・母子保健ボランティア100名以上が出席して行われました。
郡長はスピーチの中でPHJの貢献に対して感謝の意を表し、これからもPHJの活動に協力することを約束してくれました。
保健行政区長はスピーチの中で自転車贈呈だけでなく、保健センターやボランティア達に対する日ごろのPHJによるテクニカルサポート面の貢献も賞賛してくれました。また、ボランティア達には自転車を大切に使いよくメンテナンスすること、そして自転車を使ってよりコミュニティーに貢献することを期待すると話されました。
ボランティア達は区毎に、一人ひとり順番に自転車を受け取りました。
たくさんのボランティア達が笑顔で帰っていきました。
PHJはこれからも保健ボランティアと母子保健ボランティア達の活躍を応援していきます。
カテゴリー: カンボジア 母子保健改善事業
カンボジア コンポンチャム州子どものケア支援ネットワーク強化事業
カンボジア コンポンチャム州子どものケア支援ネットワーク強化事業
(期間:2018~ 対象地域:コンポンチャム州)
PHJはコンポンチャム州で2014 年から妊娠・出産・産後期を中心に保健センターでの母子保健サービスを強化し利用増を促進する活動を実施してきました。しかし、村での活動を実施する中で5 歳未満の子供の健康問題が顕在化。男女ともに完全母乳育児期が終わり、離乳食が始まる6 ヶ月を境に低栄養の割合が増加し、特に1歳から2 歳未満の男児では低体重26.0%、低身長19.5% でした*。「低栄養」は子どもたちが病気にかかるリスクを高めるだけでなく、成長に及ぼす負の影響は生涯に渡り続くといわれています。
*岩本、他、「カンボジア国コンポンチャム州における子どもの慢性低栄養の男女差」、2016
活動内容
本事業は、保健センタースタッフと村のボランティアが支援ネットワークを形成し、地域の子どものケアに関する知識普及や実践促進を行うことにより、5 歳未満児の予防可能な死亡を削減しつつ、健康な成長発達が促進されることを目的とします。子どもの栄養改善など健康増進や疾病予防に対する地域住民の関心を高めて家庭でのケア実践の増進を狙いとしています。
保健センターでの予防接種、成長モニタリングなどの健診や小児疾病管理の保健サービスを提供できる体制づくりをコミュニティの参画のもとに推進します。
活動レポート
母子保健ボランティア 産後検診啓蒙のためのトレーニング
現在、PHJカンボジアでは2歳以下の子どもの健康を支えるためのネットワークづくりをしていますが、この事業のなかで母子保健ボランティアは村の妊産婦を直接支援する役割を果たします。
活動の中でも目標とされている家庭での子供の健康に関する知識や意識を高めるためにはなくてはならない存在で、妊婦健診や産後検診といった産前産後のケアの啓蒙や栄養教育といった活動の核になります。
7月はじめの4日間、ピアムゴッスナー母子保健ボランティアの第2回初期トレーニングを開催しました。今回のトレーニングは、6月末に行った第1回初期トレーニング「妊婦健診サービスについて」の続きです。
「産後検診サービスについて」が今回のトレーニング内容で、13人の母子保健ボランティアが参加しました。
比較的大人数だったので、会場として保健センター近くの学校の教室をお借りしました。
学校の校長先生は活動にとても理解を示してくれ、快く教室を貸してくれました。
ファシリテーターとして保健局の医者と看護師が参加しました。
産後検診の大切さについての講義、新生児と母親の健康状態の評価方法、体温計の使い方、家庭訪問の仕方などが主なトレーニング内容でした。
最終日は実技です。グループに分かれて近くの村に行き、出産したばかりの女性へ家庭訪問をします。
保健局の医者と看護師の指導のもと、参加者全員が家庭訪問の実演をしました。
母子保健ボランティアが、フリップチャートの教材を利用しながらわかりやすく説明しています。
最後は、参加者13人の母子保健ボランティアへ救急箱、教材、バッグを贈り、トレーニングは終了しました。
フードデモンストレーション(離乳食の調理実習)を実施しました。
5月下旬にクポッタゴン区のプレック・トゥク村でフードデモンストレーションを行いました。
村の母子保健ボランティアの自宅をお借りして、乳児を持つお母さんたちを対象に栄養のある離乳食のお粥の調理実習をしました。
PHJスタッフと母子保健ボランティアの指示のもと、お母さんたちが調理に参加しました。
離乳食のお粥完成です。
お米のほか、緑野菜、カボチャ、サツマイモ、魚、卵、豆腐など、栄養価の高いものが入っています。
子供たちのほとんどがお代わりをしました。
参加者全員で試食しました。大人にも好評な味でした。
最後に、PHJスタッフが乳児に必要な栄養に関する講義をしてフードデモンストレーションは終了しました。
今まで栄養のあるお粥を作りたいと思っていたけれど作り方を知らず、今回の実習で学べてよかったとお母さん達から感謝の声をいただきました。
保健ボランティア向けに母子保健の研修を実施しました
5月上旬の2日間で、ピアムゴッスナー保健センターにて保健ボランティア(VHSG)向けに母子保健の研修を実施しました。保健センターの看護師と助産師がファシリテーターとして妊婦管理、産後ケア、出産間隔、予防接種、衛生について講義しました。
ピアムゴッスナーの保健ボランティア18人中15人が参加しました。風も扇風機もない猛暑日でしたが、保健ボランティア達は辛抱強く暑さに耐えながら最後まで研修を受けていました。
看護師、助産師とPHJスタッフで研修前の段取りと教材についての説明をしている様子。
猛暑の中、保健ボランティアが集まってくれました。
チェイフール看護師はたまにジョークを混ぜながら講義し、和気あいあいとした雰囲気で研修が行われました。
予防接種の講義。
セング助産師による出産間隔の講義。
研修の最後に、PHJが作成した保健に関する冊子を一村に一部贈呈しました。
小児統合疾患管理トレーニングの実施
保健行政区におけるPDCAの理解と定着に向けて
1月の活動のハイライトは、半年に一度に保健行政区と行うM&E(Monitoring & Evaluation) ワークショップです。
事業管理(Plan Do Check Action: 以下PDCAと省略)について学び、これをもとに、保健行政区の実際の活動を振り返りと評価を行い、保健行政区の管理能力強化を図ることを目的としています。
2015年から定期的に行われてきた本ワークショップ。
しかし、まだまだ、PDCAの考え方に沿って、自分たちの活動を振り返ること、そして、目標達成するには、どうすればいいかについて考えることには慣れていません。
<ワークショップ1週間前>
ワークショップの準備として、保健行政区の母子保健活動計画にもとづいて、“活動のまとめ”を作成するとことから始めます。
そこで事前に“活動をどのようにまとめるか”について話しあいました。
<ワークショップ当日>
PDCAについての復習講義とエクササイズからスタートしました。
その後、保健行政区長による保健行政区の活動のまとめを発表しました。
活動を計画に沿って振り返りその進捗と次の課題について話し合い(評価)を行いました。
過去のワークショップでは、計画したものの評価できるような計画ではなかったので、計画を修正。
しかも評価する指標を設定していなかったため、次に指標を設定。
ところが、指標があってもデータがない・取れなかったため、次は、測定可能な指標を設定し、、とPDCAと長きにわたり格闘してきました。
今年は、計画に沿って、指標となるデータを見ながら、活動の振り返りと評価の話し合いが形になっていたと思います。
次の課題は、評価をもとに次の計画に反映する事。
少しずつですが、着実に、保健行政区がパワーアップしているのを実感できたワークショップでした。
お母さんと子どもの健康をささえるダイアリー作成
PHJカンボジア事務所ではダイアリーを制作し、
新年にPHJの活動に関わる様々な人、たとえばボランティアや保健センターのスタッフなどに配布します。
このダイアリーはスケジュール管理やメモといった機能だけなく、PHJの活動紹介、母子の健康に関する知識もイラスト付きで含まれています。
ボランティアや保健センタースタッフは、自分の活動管理や情報整理のために活用し、今や会議などの活動には欠かせないアイテム。
誰もが手帳を持っている日本と違い、カンボジアの農村地域に住む人たちにとっては重要な1冊となっているようです。
今年は、事業対象が“お母さん”だけでなく“子ども”も追加されテーマを拡大したので、
ダイアリーの中身も新しく見直し、みんなで工夫して仕上げています。
12月の完成目指して、スタッフ中心となって頑張って取り組みました。
どんな出来上がりになるかは新年になってからのお楽しみです。
多岐にわたるPHJの活動
洪水被害を受けた地域での支援活動(健診、健康教育、水の配布)
9月から10月にかけて実施された健診キャンペーンの活動について報告します。
事業地の一部に、数年に一度の大洪水による被害が発生し、衛生環境が悪化に伴う子どもの健康状態への影響を最小限にするために、2歳以下の子どもを対象に、健康診断・健康教育と、水の配布を実施しました。
目的は
・脆弱人口である子どもへ飲料水の配布し、安全な水へのアクセスできる環境を促進する。
・低栄養・下痢症状の子どもを早期発見・搬送する。
・洪水に関連した健康教育を行い、村人の疾病予防行動を啓発する。
健康診断の結果は2段階に分け、重症急性低栄養で緊急に受診を要する場合は診断当日に保健センターへ紹介し、その後個別の栄養指標の算出して分類し、低栄養で受診を要する場合は水の配布時に保健センターを照会しました。
こちらの活動は「カンボジア洪水子ども支援募金」として支援できますので、ご協力お願いいたします。
【活動期間】
健診・健康教育:9月11日~9月21日 ※9月16日(日)を除く
水の配布 :9月18~10月3日 ※土日祝日を除く
【対象地と対象者】
クポッタゴン保健センター、ピァムゴッスナー保健センター管轄村16村の2歳以下の子ども
【活動内容】
1)集団健康診断:身長・体重・上腕周囲径の計測と質問票を用いた問診
2)集団健康教育:下痢について
3)緊急物資支援:2歳以下の子ども当たり40L飲料水ボトル配布
【実施協力者】
•NCGM(国立国際医療研究センター国際医療協力局:以下NCGM)栄養調査チーム フィールドスタッフ
•保健行政区長・各村の村長・保健ボランティア・住民(会場提供など)
【実施内容】
〇健康診断・健康教育へ参加した子供:427人(クポッタゴン214人 ピアムゴッスナー213人)
〇20Lの飲料水ボトルの配布数:958本が479人の子どもに届けられた。
1)集団健康診断
身体計測と保健センターへの照会
国立国際医療研究センター栄養調査チームが、子どもの主養育者を対象に子どもの既往歴などについて質問票を基にインタビューを実施し、その後、身長・体重・上腕周囲径を計測した。
インタビューと身体計測の後に、1.現在下痢症状がある、または、2.重症急性低栄養かどうかを判別するために、PHJスタッフがスクリーニングシートを用いて、受診を必要とする子どもの選定を行った。
【選定結果1】
健診当日に下痢症状のある子ども16例(PKS管轄村9人、KTN管轄村7人)を保健センターへ照会した。その他、2例の上腕周囲径で重症急性低栄養の基準を満たす子どもが認められたが、すでに受診し経過観察中だったため、今後の通院継続の必要性について改めて説明した。
2)集団健康教育
洪水に関連した健康被害の下痢を題目として、PHJスタッフによる健康教育が行われ、集まった対象年齢の子どもを持つ養育者が健康診断の前後の時間を利用し参加した。
3)緊急物資支援
健診・健康教育の活動に参加した子ども(一部、私事で健診・健康教育には参加できなかったケースも含む)に配布された、引換券と交換に子ども一人当たり40Lの飲料水の配布を行いました。当日取りに来られなかった人もいましたが、保健ボランティアの協力により、すべての引換券をもった子どもに安全な水を届けることができました。
【選定結果2】
水の配布と共に、健康診断の結果を個別に配布し、受診が必要な子どもには養育者に紹介状を渡しました。クポッタゴン保健センターでの低栄養の子どもの割合は27.6%、ピアムゴッスナー保健センターでは32.9%でした。
【活動を終えて】
水と健診結果の配布では、興味の対象は主に水をもらうことだろうと予測していましたが、真剣に子ども健診結果を見ているお母さんが多く見られました。
このような活動を通して、子どもの健康に少しずつ村のひとの関心が高ることを願います。