市場で感染予防の衛生キャンペーンを実施

コンポンチャム州内で新型コロナウイルスの市中感染が拡大し、PHJの事業地でも新規感染者が確認されました。
PHJは区役所と連携し、6月26日、感染予防対策として衛生キャンペーンを行いました。

キャンペーンの対象地としたのは、人が集まる村の市場。

不特定多数の人々との接触が多い小売業の人々に感染予防のリーフレットとマスクを渡したり、スピーカーで感染予防のメッセージを流すなど、啓発活動を実施しました。マスクをつけていない人にも、その場で感染予防の大切さを説明し、マスクを配布して着用を勧めました。

本キャンペーンに協力・参加した区役所にもマスク500枚と消毒ジェル(30リットル)を寄贈しました。

【本事業は、大日本住友製薬株式会社様からのご支援により実施しています。】

出産後もケアが受けられる保健センターへ

事業地内の保健センターには「産後ケア室」があります。この部屋は緊急事態への対応はもちろん、産後の体を休め、心身のケアをしたり、育児に関する知識を伝えることは母子の健康にとって重要です。
しかし、3つの保健センターの産後ケア室は、設備が整っていません。
そのため、産後のお母さんと赤ちゃんは産後直後でも、自宅に帰っていました。

オームルー保健センター産後ケア室
ピアムコスナー保健センター産後ケア室

 

アレアッタノー保健センター産後ケア室

そこで、クラウドファンディングを実施し、いただいたご寄付を設備購入にあてました。
PHJスタッフが備品の購入から、キャビネットの組み立てなどすべてを行いました。電気系統やドアの整備を行った産後ケア室もあります。



各産後ケア室には主に車いす、点滴台、カーテンレール、カーテン、網戸、マットレス、キャビネット、棚、扇風機、医療者用デスクなどを整備しました。

設備支援後のピアムゴスナー保健センター産後ケア室

3つの保健センターの産後ケア室に必要な設備が整いました。これからは産後の母子がゆっくりとケアを受けられることを願います。

カンボジア 産後母子ケア支援オンライン寄贈式

4月7日(水)に ホテル日航成田にて、成田コスモポリタンロータリークラブのご支援によるPHJカンボジア 産後の母子ケア支援プロジェクトのオンライン寄贈式を開催しました。
本来であれば、ロータリークラブの方がカンボジア現地へ訪問し活動を視察する予定でしたが、今回は世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で渡航ができなかったため、ZOOMによるオンラインの寄贈式を行うことになりました。
(オンライン寄贈式の会場で寄付者代表挨拶をする成田コスモポリタンロータリークラブ 藤崎政弘会長)
オンラインによる寄贈式は初めての試みでしたが、日本とカンボジアの画面を隣り合わせにして、画面上であたかも日本からカンボジアへ寄贈品を手渡しているかのような演出もできました。

(藤崎会長から寄贈品を受け取るPHJ藤野部長。画面上でもPHJカンボジア石山所長が寄贈品を受け取っているように演出)
こちらはカンボジア側で撮影した写真。左から州保健局 母子保健部 部長補佐スタッフ Ms.Penh Sokunthy、保健行政区 母子保健担当 Mr.PhaiVichet

映像による活動報告(医療者に対するスキル向上支援)も行いました。

映像の最後にサプライズで、PHJカンボジアスタッフ スレイレアンが最近出産した女の子の名前を紹介。私たちも驚きだったのですが、なんと、「ナリタ」と名付けたとのこと。
2019年に成田コスモポリタンロータリークラブの皆さんがカンボジアを訪問しスタッフと交流した時に、とても楽しかったこと、そしてナリタという響きがかわいい、ということで名付けたそう。

その後、藤崎会長が挨拶の中でぜひナリタちゃんに会いにカンボジアを訪問しましょう!!と言ってくださいました。
支援者の皆様が現地訪問できなかったことは残念でしたが、クラブの皆様が寄贈式に参加いただけたことなどオンラインだからこその良さも体感できました。

クポッタゴン保健センターの入り口舗装

雨季は水たまり、乾季は砂埃で、診療所へ訪れる人を困らせていたクポッタゴン保健センターの入り口ですが、舗装工事が行われました。
こちらの工事費用は2021年2月15日に終了したクラウドファンディングで集まった寄付を使っております。


最初に路床となる土や砕石を準備

土をひいて

石をひきます。

その後、針金をひいて

コンクリートを流し込み
完成しました!

ウェルカム!という感じですね。
アクセスがしやすくなって、患者さんも、診療所のスタッフも喜ぶでしょう!!

医療スタッフ向けの栄養研修を実施

事業地では低栄養、特に発育阻害と低体重の子どもが多いといった課題があり、
医療スタッフに対する栄養に関する知識や技術の強化が必要とされています。

JICA広報誌mundi2020年1月号より抜粋

こうした背景から
医療スタッフに向けた栄養研修を継続的に開催しています。
1月も、保健省のスタッフが講師となり
保健行政区スタッフと州保健局スタッフを対象とした栄養研修とともに
各保健センターの全スタッフ対象の基礎的な栄養研修も行いました。

来院した子どもの健康状態を確認

イエローカードの使い方を確認しました。イエローカードは出生体重や予防接種履歴、子どもの成長度合いを記載するもの。カラーで作られており、子どもの成長の経過や、月齢と比較して低体重か否かを知ることが可能な便利なツールです。

イエローカードの使い方を担当の看護師と確認

 

栄養に関する基礎的な講義を保健センタースタッフに向けて実施している様子。

 


子どもの身体測定実践
子どもの身体測定実践

8月に行った栄養研修に参加できなかったスタッフも参加でき、保健センタースタッフに喜ばれました。
参加したスタッフは学ぶことに意欲的でした。参加者からのニーズもあり、栄養研修は再度開催する予定です。

事業第2年次の日本NGO連携無償資金協力の署名式典

2021年1月13日(水)に、日本NGO連携無償資金協力署名式典が行われました。

同式典では、三上正裕駐カンボジア特命全権大使とPHJカンボジアの石山所長との間で
「コンポンチャム州子どものケア支援ネットワーク強化事業(第2年次)」について贈与契約書に署名を行いました。
同式典では、三上大使がスピーチを行い、今回の支援が対象地域の人々に直接裨益し、カンボジアと日本の更なる友好促進
につながることを願うと述べました。
続いてPHJカンボジア事務所長の石山が、日本国民及び政府への感謝の意を表明するとともに、
着実に事業を推進していくことを約束しました。

下記、石山所長のスピーチです

「三上大使閣下、
外務省関係者の皆様、
在カンボジア日本大使館の皆様、
コンポンチャム州保健局母子保健部 部長 タング医師、
ストゥントロン保健行政区長イム医師

この度日本NGO連携無償資金協力 贈与契約を
締結させていただきましたこと、
特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパン
を代表しまして心よりお礼申し上げます。
どうも、ありがとうございます。

私は今、大使館でこの署名式をむかえる喜びとともに、特別な思いを感じております。
小学校の時、担任の先生が社会の時間に差し出した一枚の写真を思い出します。写真を見せながら先生は、
「これは外国で撮られた写真で、建物の建設は日本の政府が支援しているんだ」、と言いました。自分の国、日本が他の国に貢献している、と聞いたその時、胸が熱くなり何とも言えない感情があふれ出ました。人生で初めて、日本人としての誇りを感じた瞬間でした。

そして今、私はカンボジアで未来を担う子どもたちの健康向上のために母子保健活動をするNGOの所長としてこの署名式の場で立っています。 今再度、小さいときに初めて感じた、日本人としての誇りで胸がいっぱいになっております。
人を助けるという行為は巡るものです。思えば日本も戦後はODAを受ける立場でした。そして今、私は一日本人としてこの恩を返すという大義にかかわることができてとてもうれしく感じております。

事業地であるコンポンチャム州ストゥントロン保健行政区では、子供の健康に関する問題が多々あります。 例えば、生後6か月以降の子どもの低身長、低体重の子どもが多くいます。改善のためには、養育者が子どもの成長や病気に関しての十分な知識を持つ必要があります。事業一年次は、主に保健センター設備や保健スタッフの能力強化を行ってまいりましたが、二年次は保健・母子保健ボランティアの能力強化と養育者への知識普及を中心的に行ってまいります。

私たちは現地が自立できる支援が本当の支援、ということを軸に活動を行ってまいりました。また、そのためには、現地の自尊心、自立心も視野に入れ、また、援助する側と援助を受ける側ではなく、お互い助け合うという精神をつねに胸に持ち、歩んできました。
大使館の方々からも新産後ケア室の開所式への出席や活動の見学をしていただく等、ご理解ご協力いただき、私たちは存分に力を発揮して活動に取り組むことが出来、感謝の気持ちで一杯です。

最後に、私たちの活動は私たちのみではなく、すべての日本人と行っているということを忘れず、日本人の思いを現地の人に届け、友好関係を築きながら活動をしてまいります。
何卒引き続きご支援・ご鞭撻賜りますよう心よりお願い申し上げます。
本日は贈与式参列並びに贈与契約締結の栄誉を賜りまして
誠にありがとうございました。

PHJカンボジア事務所長 石山加奈子」

ペンの寄贈をきっかけにSDGsの啓発活動を

日本生命保険相互会社様からSDGsのペンのご寄付をいただきました。

PHJがカンボジアやミャンマーで取り組む母子保健改善事業は、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール3(すべての人に健康と福祉を)にそのまま合致するものです。

また、SDGsの17の目標の中で、ゴール5(ジェンダー平等とすべての女性と女児の能力強化)、ゴール6(安全な水とトイレを世界中に)、ゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)も関連するものです。

コンポンチャム州保健局の母子保健担当スタッフへペンを寄贈し、SDGs賛同の意志を表明していただきました。

ストゥントロン行政区長にもペンを寄贈しました。

SDGsは、先進国だからなどの線引きはなく、世界中が取り組むべき目標。
しかし、カンボジアではSDGsの認知度は低く、一般の人々には概念が浸透していないため、PHJの現地スタッフもSDGsについてはよく知らないというのが実情です。
今回SDGsのペンをいただいたことをきっかけに、事業地内の小学校でSDGsのイベントを開催することとなりました。
小学生に「SDGsって何?」をきちんと伝えられるように、スタッフは業務の合間にSDGsの勉強に励んでいます。

子どもたちにわかりやすく教えるために教材も作りました。

日本の企業から贈られたペンが、カンボジアの小学校でSDGsの啓発につながり、「持続可能な世界の実現を目指す」ために、身近な生活の場から実際の行動を起こすきっかけとなることを期待しています。
現在、カンボジアでは20人以上の集会が禁止されていますが、禁止が解かれ次第、SDGsイベントを実施する予定です。

運営委員会に現地の人々がオンラインで初参加

11月17日にオンラインで開催されたPHJ運営委員会に、カンボジアの事業地の区長や住民が参加しました。

クポッタゴン保健センターに集まった参加者

運営委員会に出席している方へ、現地からメッセージを伝えるためです。

現在事業地内の保健センターではいくつか課題を抱えています。

クポッタゴン保健センター

クボッタゴン保健センターは入口付近の地面が未舗装で、雨季には池のような水たまりができ、乾季には土埃が舞い、保健センター内に入ってきます。
さらにアレアッタノー、ピアムゴッスナー、オームルーの3つの保健センターの産後ケア室は整備されておらず、
産後の母子が48時間滞在することはとても難しい状態です。

保健センターの現状を伝える区長

PHJではこうした保健センターの課題を改善するため、
クラウドファンディングで寄付を集め、舗装工事や備品購入を考えています。

運営委員会では、公開予定のクラウドファンディングへのご協力を促すために、
区長、村長、保健センタースタッフ一同、母子保健ボランティア、保健ボランティアさん、
そしてPHJカンボジア事務所スタッフ一同も参加し、運営委員会に出席されている方々へメッセージをお伝えしました。

カンボジア所長

このようにオンラインで日本の支援者と対面するのは、カンボジアの参加者にとってはほぼ初めて。
おやつを食べながらウキウキして出番を待っていたとのこと。

また現地の人がこのように募金活動に直接かかわることも初の試みです。
支援を受ける側の人々が働きかけたことで寄付が集まれば、自尊心の向上にもつながり、
寄付で購入した物品などもより大切に使うことと思います。

PHJスタッフと現地の方が協働して募金活動を行い、連携をさらに強化する良い機会となりました。

栄養研修の開催

医療人材の栄養に関する知識を高めるため研修を行いました。

保健省スタッフがファシリテーターとして、カンボジアの子どもの栄養状態、栄養不良の定義、SAMの定義・ケアの仕方、子どもの身体測定の仕方、簡易的に栄養失調をみる上腕周囲径(MUAC)を計る方法、地域の栄養状態の調査手法、フォローアップ方法などの講義を行いました。
受講者は保健センタースタッフ(ストゥントロン保健行政区管轄の全12HC)、保健行政区スタッフ、州保健局スタッフ、地方病院スタッフでした。

研修の2日目には、実際に村でMUAC測定したところ、中度急性栄養不良の子どもが多数確認されました。今後は母子保健ボランティアの栄養の啓発活動の研修を行い、住民への栄養に関する知識向上を目指します。

研修の事前テストは8点(平均)と低かったが、事後テストは83点(平均)と知識向上が見られました。

クポッタゴン保健センター産後ケア室の完成式典を開催しました

産後ケア室

クポッタゴン保健センターに産後ケア室ができました。
これまで保健センターで出産した女性は、出産後すぐに新生児とともに自宅へ帰らなければなりませんでした。
産後ケア室ができたことで産後検診と新生児健診を受ける母子が保健センターに48時間まで滞在できるようになりました。

クポッタゴン保健センター

この産後ケア室は日本NGO連携無償資金協力の支援により建築され、完成式典が開催されました。
式典には、コンポンチャム州からキムスオ・ピーロン州保健局長、日本国大使館から前川二等書記官が出席して祝辞を述べ、州政府関係者、地域住民約30人が参列しました。

式典の様子

式典の前には現地の状況を理解いただくため、出産後間もない女性のいる家庭の訪問や保健センターの見学いただきました。

産後の女性の自宅訪問
保健センターの見学

なお、産後ケア室の建築進行を務めたPHJカンボジア事務所の石山所長代行よりメッセージです。
「2月から始まったこの産後ケア室の建設工事は、コロナの影響もありながらも、無事に今年の7月14日に完了しました。皆さまの影からの支援あってこそです。どうもありがとうございました。

これからクボッタゴン保健センターでは、産後ケア室にて、緊急時の適切かつ迅速な対応をしていくことができるでしょう。小さな前進かもしれませんが、子どもとお母さんがより健康に暮らせる社会づくりに貢献ができると思います。

どんな環境に生まれても人には健康で幸せになる権利があるということ、それを今の世界で実現可能であるということを証明するために、今後も活動を続けてまいりますので、これからも皆さまのご支援、どうぞよろしくお願いします。」


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