より効果的な子どものケア教育活動ためのブレインストーミング

医療機関のスタッフが集まり、ブレインストーミングセッションを実施しました。
目的は住民に対し子どものケア教育をより効果的に実施すること。
保健省のスタッフがファシリテーターとなり、州保健局スタッフ、保健行政区長、担当保健センター長と助産師が参加しました。
ファシリテーターのリードにより、皆が自由に意見を出し合っています。

よりアイディアを明確にするために少人数でグループワークを実施。
最後にまとまった意見を発表しています。
PHJスタッフはこれらの発表をもとに、小児疾病統合管理(IMCI)、栄養、衛生をテーマにした教材作成をこれから開始します。

「感染予防」をテーマに助産師卒後研修を実施

助産師を対象に「感染予防」をテーマにした卒後研修を行いました。

ミャンマーの助産師は学校を卒業後、実地訓練の機会がないまま任地へ派遣されます。
その後は、人口3000から10000人の地域を1人で管轄し(サブセンターの場合)、母子保健だけでなく地域保健業務全般を担っています。
派遣後も定期的な研修はないまま、現場での医療保健にあたることが多くあります。
そのため、PHJは助産師が確実な医療知識と技術を身に着けられるような教育の場として、助産師卒後研修の実施をサポートしてきました。
事業3年目にあたる今年は、これまでの卒後教育が今後も継続的に実施されるように、保健局の月例会議内に継続教育の時間を組み入れた研修を開始しました。

2月のテーマは、「感染予防」。医療の現場でHIVやB型肝炎等の感染症を予防するために大切な知識です。
また、2月の時点でも世界で感染が拡大している新型コロナウイルスの感染予防行動も改めて助産師たちに伝えられました。
研修は、保健局のスタッフが指導者となり、標準予防策や手指衛生の方法等に関して、デモンストレーションを交えた参加型で教育していきます。

ミャンマーの地域保健を担っている助産師たちが、助産師学校を卒業した後も医療者として知識を高め続けるために、継続教育はとても大切です。研修で学んだ知識や技術を各助産師がそれぞれの管轄地域へ戻って地域での医療活動に還元することで、「以前よりも地域住民から信頼され、頼られるようになった」という声を聞くことができました。
このような継続教育の機会が現地当局主導で継続されるよう、これからもミャンマーの医療スタッフと力を合わせて取り組んでまいります。

ミャンマー政府関係者との事業評価会議を実施

2017年に始まった現在の母子保健事業も残すところ8ヶ月です。

最終年である今年度の中間となる2月に、ミャンマー政府関係者とともに、事業評価会議を開催しました。
ミャンマー政府からは、ネピドー公衆衛生局局長、タッコン郡保健局タウンシップ院長をはじめとした関係者8名、PHJからは、スタッフ全員が会議へ参加し、これまでの事業成果と計画を共有しました。
PHJは、これまで医療施設の足りていなかった地域への一次医療施設の建設や助産師・補助助産師の能力強化、地域に住む村びとの保健知識の向上や、村と医療スタッフをつなぐ母子保健推進員の育成などを含めた、5つの活動を実施しています。
これらの活動の成果として、自宅出産率の減少や妊産婦健診率が向上していることなどを共有しました。タッコン郡内では妊産婦死亡数の減少傾向が見られており、ネピドー公衆衛生局からは、PHJのタッコンでの取り組みに対して、高く評価されました。

さらに、事業終了に向けて、現在の各活動を現地スタッフが主体的に継続するための仕組みづくりへの取り組みと計画の概要を共有しました。ネピドー公衆衛生局からは、事業終了後も活動が継続することの重要性について、再度各関係者へ伝えられました。
ミャンマーは、医療者不足やインフラの未整備による医療アクセスの難しい地域等、安全で安心な出産環境までは課題が山積みです。会議では、そのような状況を少しでも改善しようと、保健医療に関わる各関係者ひとりひとりが、地域住民のいのちについて真剣に考え話し合う場となりました。

産後ケア室の地鎮祭

クボッタゴン保健センターで産後ケア室の建設を始めるにあたって地鎮祭が行なわれ、
保健センタースタッフ、村人、区長、PHJスタッフが参加しました。

地鎮祭はその土地に住む神々へお供え物をささげて建設の無事完了を祈ります。
カンボジアには多様な宗教があり、儀式はヒンズー教の様式で行われました。
村人が朝早くからきて準備をしてくれました。産後室の完成を楽しみにしているようです。

神々へのお供え物です。

儀式が始まりました。祭祀たちがお経を唱えています。

保健センター長と区長がお供えする穀物を祭壇になげています。

用意されたお供え物をお盆に乗せ、祭壇の後ろ側に置きます。神々の領域を象徴する祭壇の向こう側にお供え物をして儀式は終わりです。お盆はバナナの木の葉っぱで作られています。

最後に建築現場で建築の成功を祈り、祭祀は清めのため土地に聖水をふりかけました。

村びとの協力のお陰で、儀式は無事に終了しました。

助産師のスキルの確認・指導

ミャンマーの助産師は、助産師学校を卒業後、単身任地へ派遣され、一つの医療施設を一人で受け持ちます。
学校で学んだ助産技術を現場ですぐに実践しなければなりません。
そして、1 人きりでお産を取り上げ、緊急時には全て一人で判断し、限られた薬剤を適切に用いて迅速な処置をしなければなりません。
また、臨床現場で求められる的確な判断力と技術には、経験と知識の応用が欠かせません。
しかし、卒業後、日本の医療人材が受けられるような十分な研修やサポート体制はありませんでした。PHJでは、ミャンマーの助産師たちが、安全な技術を身につけ、維持し、自信をもって地域での医療保健活動にあたることができるように、タッコン郡保健局による助産師のスキルモニタリングをサポートしています。
普段は地域での医療保健業務に追われて忙しい助産師たちが、あらためてじっくり自身の知識や技術と向き合い、保健局のスーパーバイザーからアドバイスをもらえる貴重な機会です。

以前PHJから寄付した胎児超音波心音系計(ドップラー)の使い方もチェックし、保健郡局保健師長が指導します。
今回は、妊婦健診や産後検診、新生児蘇生法などの技術の確認に加え、ケーススタディーを用いて、分娩時出血や妊娠高血圧症候群などへの対応についても再確認しました。

新生児蘇生法の技術チェックを行う様子

臨月の助産師も参加し、真剣に取り組んでいました。

ケーススタディーについてスーパーバイザーから指導を受けている助産師 (左から母子保健課産婦人科医、タッコン郡保健師長、臨月の助産師さん)

今回のモニタリングからの学びを活かして、助産師たちが自信をもって安全で確実な技術を提供することにより、安全なお産と元気な赤ちゃんのケアが実践されるよう、これからも支援していきます。

特別行政機関に指定された保健行政区での研修を実施

保健行政区は地区内の保健センターを管理監督する保健機関であり、保健行政区の能力向上が保健センターのマネジメント・保健サービス向上につながります。

今回、PHJの活動地であるストゥントロン保健行政区のスタッフが、特別行政機関(SOA)に指定されているタケオ州のアンロカ保健行政区にてマネジメント研修を行いました.
研修には、ストゥントロン保健行政区長を含む行政区のスタッフ4名と、専門家とPHJスタッフが参加しました。
今回のスタディツアーではアンロカ保健行政区スタッフにより組織マネジメント(チームワーク)の重要性が強調されました。
SOA:Special Operating Agency 国の評価基準を満たしている行政機関

研修では、保健省の定めたガイドラインに沿ったアンロカ保健行政区のマネジメント力向上の経験とノウハウについての講義を受けました。さらに、アンロカ保健行政区の母子保健担当スタッフからも日々の母子保健マネジメントについて具体的な方法を教えてもらいました。その内容は、現在ストゥントロン保健行政区で課題となっている情報収集の仕方、記録や報告の仕方に関するもので、質疑応答も活発に行われました。
その後、アンロカ保健行政区の地方病院を訪問。ストゥントロン保健行政区長が真剣な表情で見学しました。

ヘンティ医師(病院長)は、「20年前には、病棟と外来の建物しかなく、電気も無い中、患者が溢れていました。コレラの患者が来ても隔離する場所さえありませんでした。今は、十分な施設が整い、スタッフも交代で24時間医療サービスを提供できています。」と、年月をかけて発展してきた経緯を教えてくれました。
「患者さんが憩える場所を作るために15年前に周囲に小さな苗木を植えました。その木が大きくなり木陰が生まれ憩いの場となったように、私達も成長してきました。」と、これまでの地道な活動を話してくれました。

さらにアンロカ保健行政区管轄の保健センターを訪問しました。

地域住民から高い評価を受けている保健センターをどのようにして作り上げていったのか、工夫したことや苦労話を保健センター長から直接伺うことができました。
なかでも、カンボジアでは軽視されがちな患者に対するホスピタリティーも保健センターの評価に大きくかかわるといった話が印象的でした。
アンロカ保健行政区の保健センターマネジメントの責任者である、チャンナリー医師は、第一線で努力を続ける保健センター長やスタッフ達への労いと感謝の意を表していました。このようなマネジメント側の何気ない行動や態度がストゥントロン保健行政区長やマネジメントスタッフにとって印象付けられた学びに繋がりました。
ツアー後にはストゥントロン保健行政区マネジメントスタッフは責任感、リーダーシップ、協力・連帯感を今まで以上に重視して活動をしていきたいと意気込みを話してくれました。

2,400本のポカリスエットを母子に配布

今回は企業からのあたたかいご支援の報告です。
長年PHJをご支援くださっている大塚製薬株式会社様からポカリスエット2,400本を寄贈いただき、母子保健教育に参加した妊婦さんや産後の女性や子どもに配布しました。

12月末になり涼しくなってきたとはいえ、ミャンマーの中でも中部に位置するここタッコン郡は熱帯性気候で一年を通して暑い日が多く、電気のない村にはもちろん冷房もなく、自宅から母子保健教育を実施しているサブセンターまで徒歩で来るお母さんや子どもは体力を消耗しています。
このような状況でのポカリスエットはとてもありがたく、配布時はみんな驚き、喜んでいました。

母子保健教育では、妊産婦さんや子どもたちが健康に過ごすために清潔な水の利用や健康的な食事に対する知識を伝えており、
ポカリスエットがその一躍を担ってくれました。
またこうした寄贈が、より多くの妊産婦さんや村びとが母子保健教育に参加するきっかけになればと思います。

身体測定と栄養教育の研修

11月20日から21日にコンポンチャム州ストゥントロン保健行政区で医療スタッフに向けた身体測定と栄養教育の研修(GMPワークショップ)が行われました。
この研修にはストゥントロン保健行政区から2名とストゥントロン保健行政区内の全12保健センタースタッフの23名が参加し、コンポンチャム州保健局の研修責任者が講義を行いました。

身体測定の実習

子どもの健康的な発育のために、子どもとお母さんなどの養育者が定期的に保健センターを訪問し、身体測定や栄養に関する指導といった小児ケアを受けることが重要です。
研修では、母子に保健センターを訪問するように促すこと、そして乳幼児の身長や体重を正確に測定すること。さらに身体測定だけでなく、栄養価の高い食事を子どもが摂取できるよう具体的な食材を指導することなどが講義に盛り込まれました。
スキルや知識の講習だけでなく母子に保健センターを訪問してもらうために、保健センタースタッフの母子に対して親切かつ相談しやすい態度で接すること、といったホスピタリティの教育もなされました。

子供の栄養と成長に関する説明

 

イエローカード記録(身体測定記録)の結果をもとにした栄養教育のロールプレイ実習
研修後の振り返り。講義を受けた内容を改めて書き出しています

2日間と比較的に長い研修でしたが、途中にはゲームを交えた振り返りの時間もあり、効果的に研修が進められ、最初から最後まで参加者は皆、熱心に講義を受けていました。

参加者からのアンケートには、ファシリテーターの説明が大変分かりやすかったという声がたくさんありました。
「この研修(GMPワークショップ)は、他のスタッフも参加して知識やスキルを身に付けたほうが良い。保健センター全員でGMPの重要性を共有することが大切だ。」という前向きな意見も出たほど、充実した講義となりました。


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